あらたな展開
水郷潮来トンボネットワーク
(小学校にトンボ池)
トンボ公園が開園しアサザ、ミズアオイなどの花も見事に咲いて、大勢の来園者にほめていただきホッとしていた9月、私たちジャランボプロジェクトは飯島博氏より次の宿題を示されました。その要旨は下記の通りです。
「 潮来町内の小学校すべてにミニトンボ池(ビオトープ)をつくり、トンボが飛び交うまちづくりをしましょう。水郷トンボ公園は、霞ヶ浦流域で唯一といっていい住民と湖との交流の場として機能しています。その接点を町内に分布する水辺と結び、人と人とのネットワーク、自然と自然のネットワークを作り上げ、水の恵を生かした水郷を目指すのです。
それにはトンボが最適で、トンボの移動距離はイトトンボでも1.5キロ程度、学校と学校の間も同程度です。学校にトンボ池をつくると、トンボは前川や水路、谷津田のため池を通して行き来ができます。トンボは子供たちにも容易に種類が見分けられるもっとも親しみやすい昆虫です。またトンボは種類によって生息に必要な環境要素が異なります。トンボ池に集まるトンボの種類によって、自分が生活している地域の水辺環境の採点ができるのです。
池は霞ヶ浦のミニチュアです。池にはトンボ公園で育てたアサザ、ミクリなど絶滅の恐れのある水草を植え、増えると霞ヶ浦に戻します。子供たちは身近な校庭内の池を通して生き物や水辺の環境について学ぶことができるのです。トンボを媒介に親子やお年寄りなど異なる世代間に共通の話題が生じ、交流の機会が期待できます。 」
ジャランボは教育委員会にこのネットワーク 構想を提案しました。委員会は学校に諮り99年 に三校、2000年に残りの三校でトンボ池づくり が行われました。町からの予算は一校5万円で 不足はジャランボが負担しました。 子供たちの発想で設計図をつくり、PTAの支 援でつくられた池には水生植物が植えられ学区 内のメダカが放されました。幼稚園と民間のトン ボ池を含めると9つのビオトープができたのです。
ビオトープ作りの様子
日の出小のトンボ池づくり。PTAの皆さんが大活躍
延方小。工事中のトンボ池。
延方小。完成後のトンボ池。この取り組みは全国ビオトープ大会で発表され優秀賞に輝いた。
津知幼稚園のトンボ池。
池作りと同時にアサザ基金は子供たちにトンボの学習を必ず行う。熱心な先生と子供たちとお母さん。
アサザプロジェクト
の活動とは
アサザプロジェクトは霞ヶ浦・北浦をよくする市民連絡会議が始めた活動です。95年連絡会議の一事業部門として、アサザプロジェクトを推進する目的でNPO法人「アサザ基金」が設立されました。
霞ヶ浦(西浦、北浦、外浪逆浦、常陸利根川を含む)の湖岸は250キロメートルあるが垂直なコンクリート護岸で覆われ、かっての自然な景観はほとんどありません。昭和38年に常陸川水門(逆水門)がつくられ、水位管理が行われ淡水化がすすむと水質は一気に悪化しました。川辺の植生帯(堤の地表ははヨシなど、岸辺はガマやマコモ、ミクリなどの抽水植物、水辺の浅い水域はアサザなど浮葉植物、少し深い水域はササバモなどの沈水植物が繁茂。これらの植物が荒波から岸辺を守り、魚や鳥のすみ家となる豊かな自然帯)は失われました。 飯島博氏は湖岸を調査中アサザが波を静める役目をしているのに気づきました。アサザを育て増やすことが植生帯の再生につながり、水質浄化に役立つことと確信しました。水辺を再生することで本来湖の持つ自浄能力を取り戻そうとしたのです。ですからアサザプロジェクトでいうアサザは、霞ヶ浦再生活動を象徴する植物の一つに過ぎないのです。 アサザプロジェクトは、これからの時代を担っていく小学生に大きな期待をしています。潮来の小学校から始まったトンボ池づくりは、国交省との連携で霞ヶ浦流域の100を超える小学校に広がりました。子供たちの要請があると飯島氏とスタッフは出前授業に出かけ、人と生き物や自然とのかかわりをわかりやすく教えます。
アサザプロジェクト
霞ヶ浦植生帯復元事業の永山鳴津の浜のアサザ植え付け会
アサザ植え付け会
魚類などの調査
常陸川水門(逆水門)と
水門操作室で国交省の説明を聞く飯島氏一行(03年7月)
右)逆水門のすぐ上流にある南部用水機場。この農業用水を道路向こう側の鹿島工水とつなげる柔軟な運用を、という案
ジャランボプロジェクトの展望
ジャランボの目指すものは明快です。霞ヶ浦・北浦の水辺の再生のため、潮来からジャランボの活動を発進し続けます。外浪逆浦、利根川、北浦、西浦と4つの水域を持ち、最下流に面した潮来だからこそ自らが再生活動の輪を上流に投げかけ広げなくてはなりません。 アサザ基金の逆水門柔軟運用案の理解を高め、実現に向けて私たちも勉強しなければなりません。実現されると水道、農業、漁業、観光ともっとも恩恵を受けるのはわたしたち潮来市民なのですから。
トンボ公園のビオトープとしての機能を更に高めます。水を汲み上げるポンプ、風除けになる土塁づくり・林づくり、園地全体、特に広場の利用方法、公園への車止めなどが当面の問題です。トンボ公園以外では潮来の市街地を流れる前川の整備問題にも目を向ける必要があります。 ソフト面では水辺の楽校を活用するため協議会を早急に立ち上げ、学習の場としての利用を高めることが急務です。子供たちに水辺の環境について楽しく学んでもらうことが次代につながるのです。 運動を引き継ぐ人を育てることも困難ながら重要課題です。
楽しく、仲良く潮来の水辺の再生を、これがジャランボプロジェクトの合言葉です。
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