第9回アサザプロジェクト公開講座

会計は問う「子どもにツケをまわすのか」「この人に任せていいのか」と 
平成17年2月5日  公会計研究所  吉田 寛



1年のうち1月1日から5月10日まで、働いた給料はすべて税金にまわります。(これを納税者の日といいます。)
こんなに払った税が一体に何に使われ、どんな役に立っているのかを明らかにするのが「公会計」です。 

今回のアサザプロジェクト公開講座は、アサザプロジェクトによる環境再生について、会計手法を用いて環境会計を研究されている 吉田寛さん(公会計研究所代表)を講師にお招きし、会計情報(税金の情報)について講演していただきました。

実際の講演は、たくさんのスライドを用いながら会場との会話を交えての臨場感あるものでした。
その雰囲気を取り入れつつ、話す順序を入れ替えてご紹介していきます。

◇ 私たちに税は見えているか
◇ 「この人でいいのか」
◇ われわれの承諾が重要だ
◇ スチュワードシップ
◇ 税金の使われ方を評価
◇ この人に任せていいのか 1
◇ この人に任せていいのか 2

私たちに税は見えているか

私たちは、国民、市民といった「民」です。

じつは民とは、もともと奴隷の意味です。昔、中国では奴隷の片目をつぶしました。その様子が今の「民」という字のルーツです。

今わたしたちは奴隷ではなく目を物理的につぶされることは無くなりました。
わたしたちは、日本国憲法に「国民主権」とうたわれる主権者です。
しかし、「見えない状態にいる」のは、昔の奴隷と同じかもしれません。

見えなくする方法は、たくさんありす。
いい悪いが見えなければ判断はできないし、
為政者の言うがままです。


「この人でいいのか」
モンテスキューによると
専制君主制は「ただ一人が勝手に法を作り取り消すことができる制度」。
・いくばくかのルールが加わると、立憲君主制です。
民主制は人民が全体として権力を持つものです。

民主制は「自分のことは自分でする」もの。
「自分のことは自分で」が基本ですが、出来ないならば出来る人を見つけて、任せるのです。

「この人でいいのか」が、至上命題です。
民主政治のもとでは
「税金の徴収と使途には
われわれ主権者の同意が必要であり、公の職員に報告を求めねばならない」と書かれています。

これは、フランス革命時の人権宣言に書かれていることです。
人権宣言は、アメリカや日本他、多くの国家の憲法の土台となっています。

面白いことに、「そのことをわれわれはすぐ忘れるので、明記する」と最後に書かれています。
われわれの承諾が重要だ
税金がなぜ必要か、あらためて考えてみましょう。

税に関するどんな教科書にも載っている3項目は

 ・義務説(憲法にも明記されています)
 ・そしてこ交換説(サービスを受けている代価)
 ・そして公需説(公の使い道がある)
しかし、「われわれの同意」に関する記述がありませんね。
人権宣言に書かれたはずなのに。


これこそが、忘れてはならない
承諾説です。
スチュワードシップ
会計情報利用者は主人、提供者は執事の関係にあります。スチュワードシップと言います。とても重要なことです。

主人が執事に求めるもの、会計責任とは?


執事の責任の大きさは?
数千円の会計より数億円の会計の方が責任は大きいです。

信頼が低い人に対する要求は高くなります。

たとえば
丁稚→手代→番頭→旦那 の職制を考えてみましょう。

丁稚さんが手代に報告する中身よりも、
番頭が旦那に報告する中身の方が高度になりますね。

税金の使われ方を評価
予算決算で貸借対照表を目にしたことがありますか?
これは、予算が法律に基づいて処理されたかを評価するものです。

でも、その他にも大事な評価がある。これが公会計の役割です。

【1】良かったかどうかの評価/幸福にしているか、利益を与えているか

・最低限のところ、不幸にしていたり損をさせていないかといえます。

・交換価値は金額で決まるのですが
 利用者にとっては「楽しい」とか「おいしい」という「利用価値」が重要です。
         ↓
  
利用価値とはコストと成果の比較で決まるのです
   成果報告書を作ることにより、はじきだされる「市民の負担」。
   これによって判断ができるようになります。







【2】税の必要性/承認できるような使い方をしたか?
【3】均衡財政を維持できたかどうか/借金せずにやっていけたか」


たとえば公共事業で作ったものは
→ 使用者である一般国民=納税者のもの。
→ 国の作った貸借対照表には、資産は国のものとして明記されている。

評価以前に、公共財を政府のものとしてしまっています。
これではそもそも、何も見えない。

まず見えるようにする
・貸借対照表を、国の立場(首相)からと、納税者の立場と、それぞれ作ります。
・兆なんていう想像のつかない単位の数字はやめます。
一人当たりで割り算してみましょう。すると十万単位になります。

数字を比べる
・支払うべき額に対して、手持ち(税収)が3割しかない。
 
ぜんぜん均衡財政にはなっていません

わかる
こと
・国は膨大な借金をしています。
 つまり
子どもたちにツケとしてまわしているのです。
 言うまでもなく、子どもたちは承認していません。




< 同じように首を傾げたくなるような例を簡単にご紹介します >

・保育所に保護者が支払う費用と、発生する公的費用の著しいアンバランス。
 年間120万円程度稼ぐために、それだけの公費を使う価値があるのでしょうか?

・某市の給食費が一食あたり934円にもなっています。
 お父さんたちの昼食費より高いですね。どうしてそんな費用に?


どうしてそうなってしまったのだろう?
私的財と公共財を比べてみましょう。

私的財は、自分のために自分が使います。
 予算も好みもわかっているから、最適な使い方ができます。

では公共財は
 税金を預かった役所は、国民(=他人)のためにそれを使います。
 多くの他人が、何を最適で求めているかはわかりません。
 決められないから多数決をとります。

 税金は他人の金ですから、値切る必要もありません。
 悲しいかな 「足りないから増税します」の方が手っ取り早い?!


 ということは、役所に任せておくと、必然的にそうなってしまう、ということです。


この人に任せていいのか 1
このように、税の評価は雄弁な判断材料になるのです。
公会計が情報を提供したら、皆さんはそこから答えを導いて、選挙なり発言なりで意思表示をしてください。

判断できることは
      


      
この人に任せていいのか 2
環境再生も同じです。
環境はみんなのもの、主権者のものです。

      

これらを明らかにしつつ、とり進めていくものです。

環境も、「自分でできることは自分でする」が基本です。
出来ないならば
出来る人を見つけて、任せるのです。

役所だからといって、出来る人とは限りません。

ここにご紹介する人たちと、管轄省庁と。どちらにお任せしますか?
  
  

[ページのトップに戻る]
[研究成果リストに戻る]
[HOMEに戻る]