新たな外来種オオタナゴの侵入と生息域の拡大(記者会見用資料)
2003年3月25日付
土浦記者クラブにて


1.新たな外来魚オオタナゴの侵入

 ここ3年くらいの間に霞ヶ浦流域でオオタナゴ(学名:Acanthorhodeus macropterus)という外来魚の名前を良く聞くようになった。 そしてこの外来魚は確実に生息域を拡大しつつある。アサザ基金が調査中に確認したのは小野川河口(古渡入り)、東町本新、境島の3ヶ所、萩原富司氏から提供頂いた情報によるとその他に夜越川、新利根川、常陸利根川、鰐川、外浪逆浦の5ヶ所で確認されている。
 原産国は中国および朝鮮半島が知られているが黒竜江(アムール川)でも生息が確認されているためロシアにも生息していると考えられる。移入された経緯については諸説あるが、あるペット業者が韓国や中国から輸入した魚のうち、 商品価値の低い(観賞魚としてあまり高く売れない、人気がない)オオタナゴは霞ヶ浦へ投棄してそれが定着した、というのが一般的な説である。


2.在来タナゴを絶滅に追い込むおそれがある

 オオタナゴの生態についてはまだ良く分かっていない部分が多く、これからの調査、研究が待たれるが、少なくとも産卵に関しては日本の在来のタナゴ類と同じく二枚貝 の中に産卵することが分かっている。霞ヶ浦にはゼニタナゴ、タナゴ、アカヒレタビラ、ヤリタナゴといった在来のタナゴの他に、国内移入種のカネヒラ、中国原産のタイリクバラタナゴなどが定着し在来タナゴ類に少なからず影響を与えている。 ここにオオタナゴが侵入することにより、限られた産卵床である二枚貝をめぐる競争がさらに激化することが予想され、在来タナゴ類へのさらなる影響が懸念される。特にタナゴとゼニタナゴは日本固有種で それぞれ環境省のレッドリストで準絶滅危惧と絶滅危惧TB類に指定されていて、生息数は減少傾向にある。


3.対策の必要性

 この先オオタナゴを霞ヶ浦流域の他の場所や、霞ヶ浦流域以外の水域に放流、または 二次放流(再放流、キャッチアンドリリース)しないように釣り人や観賞魚を楽しむ 人たちに賢明な対応が求められる。すでにいくつかの場所で二次放流によると思われ るオオタナゴの生息も確認されているらしい。
 このような外来種の移入は生息環境や餌の奪い合いといった単純な問題だけでなく、 近縁種との交雑や伝染病の媒介、餌生物の減少による水質の変化など生態系全体への 複雑な問題も引き起こす。安易に外来種を導入、移入することは慎まねばならない し、すでに入ってしまった外来種に関しては緊急に対策が必要である。
 そこでアサザ基金は、国土交通省霞ヶ浦工事事務所と茨城県に対し、「霞ヶ浦での外 来種(移入種)対策の実施を求める要望書」を提出し、外来種・移入種に対する対応 策と予防策を早急に実施するよう要望した。しかし、積極的な回答は得られなかっ た。 行政の外来種対策が緊急に求められている。私たちは今後も行政に対して、具体的対 策の実施を要望していく。

※外来種とは単に外国から移入されたものだけを指すのではなく、人間の様々な活動に 伴って本来生息している分布範囲を超えて持ち込まれたもの生物を言います。 また在来種とは様々な自然要因によって分布を制限され、長い年月をかけてそれぞれの環境に適応し、その地域の生態系のなかで関係を作り上げながら進化してきた生物を呼びます。

<参考文献>  萩原富司(2002)「霞ヶ浦でオオタナゴが定着」 魚類自然史研究会会報 「ボテジャコ」NO,6,19−22(2002)
 外来種ハンドブック(2002)地人書館

2003年3月25日
NPO法人アサザ基金
  代表理事 飯島博


霞ヶ浦で捕獲したオオタナゴ

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