| 生物多様性保全に配慮した緑化事業 |
|---|
|
上流の山地で行われている緑化事業では、効率性を重視することから、材料の供給が容易で定着が早い牧草をはじめとした外来種の植物が多く用いられている。しかし、上流部での外来種の導入は、川を通してそれらの種の生育地の拡大を引き起こし、水系全体に大きな影響を及ぼすことになる。このような外来種の生育地拡大は、在来種の生育地を奪い絶滅に追い込むとして、各地で問題化している。 わたらせ未来プロジェクトを行っている足尾山地の緑化事業でも、これまで外来種が多く用いられてきた。そこで、未来プロジェクトでは、生物多様性の保全に配慮した緑化事業を、上流下流のネットワークによって実施している。具体的には足尾山地に残っている森林で、ドングリなどの樹木の種子を採取し、植樹用の苗を育てるというものである。緑化用のヨシズと同じ上流と下流の交流事業の一環として、足尾山地で採取したドングリを下流の渡良瀬湿地帯周辺の小学校や家庭で育ててもらう里親制度を行っている。足尾山地で採取したドングリなどの樹木の種子を土壌の肥沃な下流に送り、里親に苗木に育ててもらうシステムである。上流下流の小学校を結ぶ交流事業に、渡良瀬川流域の一般市民も加わり、流域ぐるみで足尾に本来の森林を取り戻す取り組みが始まっている。このように、生物多様性の保全をはかり、外来種の管理を行うためには、水系全体を行政の縦割りを越えて結ぶネットワークの構築が欠かせない。NPOの役割は、保全に向けた戦略を持って広域ネットワークを地域全体に構築していくことにある。NPO本来の役割は縦割り行政をその枠組みの中で補完することではない。 |
|
代表理事 飯島 博 |