| 人格を持った技術 | 2002.6.26 |
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アサザプロジェクトを構想したときには様々な分野の文献や資料などを参考にしました。とくに、
多くの示唆を得ることができたのが「百姓伝記」などの農書です。農書というのは江戸時代に日本
各地で作られた民間の農業技術書です。現代の技術書とは違い自然のきめ細かな観察や人間の五感
を重視した技術が論じられていて、またその内容は実に多岐にわたります。とくに、わたしが農書
から強く影響を受けたのは、多様な分野を総合する個々の人格について論じている点です。「技術
が人格と切り離されては語られていない。」このことは、20世紀に起きた技術の暴走(戦争や自
然破壊)を体験したわたしたちには大きな意味を持って迫ります。 甲斐の国の農書「川除仕様帳」には治水について「鉄砲の弾や矢は固いものに当たればそれを壊 すが、幕に当たれば玉も矢も留まり幕が傷つくことはない」と書かれています。これは、アサザな どの水草や粗朶で大きな波を抑えるという考えと通じます。また、地元に伝わる技術にも重要なア イデアを与えてくれたものがあります。霞ヶ浦の下流部で行われていたという干拓技術です。水辺 にマコモなどの水草を植えて草の間に少しずつ砂をためながら浅瀬をつくり陸地にしていくという 技術です。 わたしは霞ヶ浦を歩き地元の人達と語り合うたびに、「人格をもった技術」に出会う喜びを感じ ます。そして、そこから得た知恵がアサザプロジェクトのこれからの発展につながります。「種々 の新しい感覚を得た。」70歳を過ぎた田中正造が利根川水系をくまなく歩いて行った河川調査の 日誌に書かれている言葉です。 |
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| (代表理事 飯島 博) | |