| 開かずの門を開ける 〜上げ潮が湖に命を吹き込む〜 | 2003.7.29 |
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現代社会は日に日に縦割り化が進み、様々なひずみを生み出している。硬直化した組織によって、人と人、人と地域、人と自然、自然と自然のつながりが断ち切られることで、わたしたちは真の豊かさを失ってきた。かつて霞ヶ浦と海はつながっていた。霞ヶ浦には淡水の魚も汽水(淡水と海水が混ざり合う)の魚も海水の魚も生息していた。生き物たちは自由に湖と海を行き来することができた。国内で二番目に大きな湖沼である霞ヶ浦は国内一位の長さを誇る湖岸線に沿って遠浅の水域が広がり、多種多様な生物が生息できる空間が広がっていた。シラスウナギの大群が上げ潮に乗って湖に送り込まれ、上げ潮に合わせてヤマトシジミが無数の卵を水中に放出した。湖で確認された魚種は100を越えた。ワカサギ漁をはじめ内水面漁業日本一を誇る豊饒の湖が満々と水を湛え広大な関東平野に滲み込むように広がっていた。しかし、治水利水を目的にした霞ヶ浦開発に伴い湖と海を隔てる常陸川水門(逆水門)が1963年に造られ、1973年には茨城県知事の指示によって水門の完全閉鎖が実施された。以来、湖の淡水化を目的に海から湖への流れは完全に遮断されている。湖から命のにぎわいは失われた。とくに漁業の衰退は著しい。漁獲量は水門閉鎖後に北浦では10分の1に、霞ヶ浦では4分の1にまで激減した。 逆水門の完全閉鎖から30年が経った今も、逆水門の開放は漁師達の悲願だ。逆水門を開かずの扉にしている主原因は何か。それは硬直化した縦割り行政にある。農業と漁業、工業など湖の水を使う各分野を管轄する行政機関が各の縄張りを守り、互いに連携をとろうとしないからだ。まさに、縦割り行政の弊害である。しかし、昨年から開かずの逆水門に大きな変化が見え始めた。アサザプロジェクトが提案した逆水門の柔軟運用案(湖に上げ潮を入れるための部分開放)が国会でも再三採り上げられ、多方面からの注目を集めているからだ。今月わたしたちの提案を具体的に検証するために、国会議員団が関係省庁を引き連れて逆水門の視察に訪れた。省庁の壁を溶かし込みながら展開してきたアサザプロジェクトが、逆水門の柔軟運用に向けた連携の場として機能しはじめたのだ。そして、湖全域の漁師達も動き出した。 30年の年月を経て、再び湖に豊かな命が吹き込まれる時が近づきつつある。新しい時代の上げ潮だ!上げ潮だ! |
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| (代表理事 飯島 博) | |