2回 はまな男女共同参画フォーラム

 

「生ごみ処理機のウソ・ホント」

 

1118()午後130分〜330

雄踏町文化センター3階大会議室

主催 静岡県西部県行政センター

                              雄踏町・舞阪町・新居町

 

講師 松田 智 (静岡大学工学部物質工学科助教授)

 

1.生ゴミ処理装置開発の意義

 廃棄物は一般廃棄物と産業廃棄物に分けられる。産業廃棄物の処理責任は産業の排出者にあるが、生ゴミが属する一般廃棄物は自治体にあるため、出す側に責任がなく、なかなか減量やリサイクルに至らない。焼却後の灰の捨て場である最終処分場は減ってきていて、いずれなくなる。そこで、生ゴミを一般廃棄物から除去できれば…

焼却すべきゴミの量がかなり減少するため、最終処分場(埋め立て地)を有効に利用でき、悪臭やハエ等の発生がなくなる

一般廃棄物中の紙・繊維・プラスチック・ガラス・金属等を機械的に分別できるようになり、再資源化の可能性が高まる

焼却処分において一般廃棄物中の水分が減少して効率的な熱回収が行える

 以上のことから生ゴミは各発生源で単独で処理することが望ましい。したがって、生ゴミ処理

 装置の開発は社会的意義の非常に大きなものである。ここでは、生ゴミ処理機の主流となって

 いる微生物分解処理について述べる。

 

2.生ゴミ処理方式の比較

 各処理方式を環境負荷、減量率、装置費、運転費、使い易さ、安全性をそれぞれ5段階評価で比較すると、1)微生物、2)ディスポーザ、3)乾燥、4)脱水、5)焼却、6)冷却の順番に総合得点が高い順となる。微生物処理で生ゴミを処理することが一番よいと思われる。

 

3.生ゴミを完全消滅できるか?

 生ゴミを微生物処理させると、腐食質と呼ばれる生物分解が困難な有機物が残る。そのため生ゴミ中の有機物を100%分解させることは困難である。しかし、重量変化だけを見れば生ゴミ中では水分が大半を占めるため、ゴミ処理機により水分が蒸発し、また有機物の大半も分解するので重量が減少し生ゴミの大半は消失する。

 

4.特別な微生物は必要か?

 生ゴミ中の有機物分解の主役を担っている微生物は、決して特殊な微生物ではない。与えられた条件下で自然に増殖してくる微生物と考えてよい。通常、生ゴミ処理機では、特に植菌を行わなくとも、23日もすれば分解に必要な微生物は増殖してくる。

 

5.処理性能の指標

1.重量の減少率、2.臭気発生の少なさ、3.維持管理の容易さ、4.エネルギー消費の少なさ、5.

渣の取りだし、または内容物の交換の容易さ、6.使用上の清潔感、7.静粛性、8.長期的な性能の安定性、9.装置自体の耐久性、10.経済性(装置・設備自体のコストとランニングコスト)11.コンパクト性などが、ユーザー側から求められる性能指標と思われる。

 

6.装置の制御

 微生物反応による生ゴミ処理を円滑に進めるための操作因子としては、1)温度、2)含水率、3)通気量、4)pHなどが考えられる。槽内温度は、槽加熱用ヒーターと槽温度及び外気温度センサーがあれば制御可能である。有機物分解反応が活発に進行する場合には、発酵熱の寄与も無視できないが、小型装置では放熱が大きいので冷却まで考える必要が生じるケースはまれで、単にヒーターを切るだけでよい。難しいのは槽内含水率と通気量の制御である。含水率が高い場合には、通気量を増やして水分の蒸発を促し、含水率が所定の値にまで低下したら通気量をしぼるか通気を停止しなければ、槽内は乾燥しすぎの状態に陥る。これを制御するには、槽内の含水率を正確にモニターして、換気ファンの制御に連動させるのが最も直接的かつ効果的である。排気中の湿度センサーを用いる方式を採る場合も見られるが、槽内の含水率と排気湿度が比例関係にないので、有効な方法とは言えない。やはり、槽内含水率を直接的にモニターしたい。この場合、センサーに求められる条件は、非サンプリング的に含水率を検出できることであり、その方法をめぐって数多くの特許が申請されている。筆者もそうした水分センサーを開発している。

 

7.臭気対策について

 生ゴミ処理装置における苦情で最も多いのは、悪臭の発生である。生ゴミは腐敗しやすく、ほんのわずかな操作ミスでただちに悪臭が発生するからである。

 脱臭対策としては、活性炭その他の吸着材を用いるのが最も簡易な方法であるが、湿度の高い排気を通じることや交換までの寿命が短いことなど、多くの弱点を抱えている。吸着剤に固体でなく液体を用いても、事態はさほど好転しない。脱臭を本格的に考えるならば、何らかの酸化触媒を用いて、悪臭物質を酸化分解するのが最も早道であろう。業務用の大型装置であれば、ガスを用いて燃焼させる手もあるが、家庭用では難しい。オゾン発生器を用いる方式は、分解できる悪臭物質が限定されることと、オゾン発生器の寿命が短いことが欠陥となっている。結局、できるだけ低温で悪臭物質を酸化分解する以外にはなく、そのための触媒捜しが技術的課題と言える。筆者らが試用した酸化触媒では、最低350℃の温度が必要で、排気を昇温するヒーターが300W以上にもなることが判明して、使用を断念している。より低温で分解が行える光触媒の使用も検討されている。

 

8.メンテナンス上の諸問題:残渣の処理など

 多くの処理機では、バルキング材にオガクズなどを用いているため、残渣はバルキング材を含んだまま排出される。当然、バルキング材の補給も必要になり、維持費がかさむ原因となっている。また排出される残渣の含水率が高い場合には、臭気や不潔感が強くなり、ユーザーには好まれない。含水率が低く、サラサラ状態でバルキング材と分離して排出できる方式が望ましい。さらに、残渣の排出がワンタッチで、掃除機のバッグのように交換できる方式であれば、手も汚れず操作感も優れたものとなる。

 

9.家庭用小型生ゴミ処理装置

 各生ゴミ処理機に適した量で生ゴミを投入して操作すればうまく処理できるが、現時点では、求められる要件が数多く、かつ厳しいため「決定版」と呼べる機器はまだでていない。大型装置ならば可能なことが、家庭用機器であるためにできないことも多い。今後、各メーカーが切磋琢磨して、より性能の高い生ゴミ処理機を開発することが期待される。


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