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論文:素材循環型地域学習環境「かすみがうら*ネット」の構築03

3. 分散学習支援体系「TripleCorn」

分類: その他
(登録日: 2000/09/29 更新日: 2001/11/08)

3-1. 分散学習支援機能の統合化


 分散学習支援体系「TripleCorn」は、学習プロセスの支援に重点を置いた学習支援システム兼デジタルアーカイブ構築支援システムである。学習プロセスにおいて生産される一次情報をアーカイブ化することが可能なWWW/データベース連携方式を採用した。個人やグループがそれぞれのパソコン環境で学習にシステムを活用しながら、学習の中間結果をその都度Webサイトとして自動生成することにより、自ら学習したことの内容を仔細に渡って吟味することができる。

 さらには、これらの過程で生産した情報資源(学習素材、一次情報)を、サーバに自動転送することにより、データベースによる分散データの管理、インターネットへの学習素材とWebサイトの公開、ネットを介した他の学習者への情報資源の提供までを一貫して支援することができる。

 本研究では、素材中心学習法「Multimedia Mapping法」に基づき先行開発した素材組織化ツール「PopCorn」注2をベースに、エンドユーザ向けの更新インタフェースとなる「PushCorn」、PopCornとデータベースを連携する「InterCorn」を新たに加え、分散環境での運用が可能なより統合的なシステム「TripleCorn」に進化させた。

3-2. 素材中心学習法「Multimedia Mapping法」


 Multimedia Mapping法は、方法論(素材中心アプローチ)、情報アーキテクチャ(情報空間モデル)、そのモデルに基づく単体ツール(PopCorn、PushCorn)の三者で構成する。

1) 素材中心アプローチ
 素材中心アプローチは、「誰でもできる」オリジナルな発想を支援するための方法である。テキスト、画像などの大量のマルチメディア素材を手軽にクリッピングしつつ、これに情報を付加できるようにすることで、学習したことを整理しやすくする。素材中心に学習を進める方法には、実世界に対する興味を喚起させる効果がある。

2) 情報アーキテクチャ
●情報空間モデル
 Multimedia Mapping法における情報空間モデル(Webサイトの論理構造)は、インデクス階層、ページ階層、クリップ階層で構成し、最上位にホームページを置く。クリップはページに1対多の関係で従属する。このモデルによりインデクス等の付け替えは極めて容易なものとなる。データ量の多少に関わりなく、常にWebサイト(コンテンツのまとまった単位)をいつでも手軽に生成することができる。

●マルチインデクス方式
 情報の価値の新たな発見を誘発することを目的とし、それぞれのページがいくつかの異なる観点から多軸的に参照できるマルチインデクス方式を採用する。インデクス系列には、分類(カテゴリー)、地域、撮影日、登録日を基本に、これ以外の任意系列のインデクスを追加することができる。

●自動一括更新方式
 データの追加や修正は、随時容易に行えることが望ましい。必要最小限のインデクスキーを各データに付加しておくだけで、マルチインデクス化が行えることは、学習者が自ら内容を吟味し、新たな情報の発見、情報の修正に寄与するところが大きい。

●全データ閲覧の保証
 データベースのWWW公開方式として、キーワード検索を唯一の方式とすることが多い。この方式だけでは、どのようなデータがあるのかを手軽に閲覧することができず、利用者にとっては使いにくい。この理由から、全データに対する閲覧を保証するナビゲーションを生成する。ナビゲーションのためのリンクは、全て自動生成する。

3-3. 単体ツール概要


1) 素材組織化ツール「PopCorn」
 「PopCorn」はMultimedia Mapping法に基づき、Webサイトを自動生成するツールである。分散環境(サーバ環境、クライアント環境)、さらにはオフライン環境、異なるプラットフォーム環境(UNIX、Windows、Macintosh)で利用されることを想定し、これらの全てのケースに対応できる汎用的なツールとして実装した。

2) エンドユーザ向け更新支援ツール「PushCorn」
 ITに不慣れなエンドユーザに対しては、データ更新を容易に行うことができるインタフェースを提供すると、素材組織化ツール「PopCorn」を意識せずに素材管理、コンテンツ編集ができるようになる。この目的からエンドユーザ向け更新支援ツール「PushCorn」を開発した。

 「PushCorn」のエンドユーザ向け編集フォームの例を【図1】に示す。編集フォームで更新したデータは、「PopCorn」により【図2】に示すようなWebページとして自動生成される。

3-4. 分散型素材循環機構


1) 分散型素材循環方式
 他者が制作したコンテンツを自らの学習に活用できるようにするためには、ネット上に公開されたWebサイトを閲覧するだけでなく、手元(自分のパソコン環境)に置いて繰り返し何度でもじっくりと閲覧できるようにし、自らの新たな情報をそこに付加したり、新たなテーマのコンテンツに再編したりする機能が求められる。

 さらに自ら制作した素材をフリー化すると、誰でもそれを再利用して多くの人が学習を始めやすくなる。「かすみがうら*ネット」では、著作物についてはその権利情報を明示して権利を保護する一方、素材の提供者には素材のフリー宣言に協力していただくことで、誰もが気兼ねなく素材を再利用できるようにする計画である。

 こうした分散コンテンツの連携を図るために素材をデータベース管理し、素材を一括ダウンロードできる方式「分散型素材循環方式」を採用した。当該方式の概念を【図3】に示す。またTripleCornの利用手順を【図4】に示す。

2) PopCorn/データベース連携ツール「InterCorn」
 「InterCorn」は、分散型素材循環方式を実現するツール群である。以下の機能で構成する。

●分散データの差分更新
 分散環境(主にクライアント環境)で新たに追加したデータ、変更を加えたデータをサーバに自動的に反映させる。

●PopCorn/データベース連携
 PopCornで管理する分散コンテンツのデータをデータベースに追加反映させる。

●データベース素材ファイル検索システム
 学習に必要な素材ファイルを検索し一括ダウンロードできる機能を提供する。PopCornと連携させることにより、ダウンロードした素材を用いてWebサイトを分散環境で自動生成することができる。

3) PopCornセンター
 分散データをデータベース連携させるためにはそれらを一元管理するためのセンター機能が必要となる。この目的から制作者、サイト等にそれぞれIDを付与し、分散運用での識別・一貫性を保証する。

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