聞き書き 里山の暮らし −土浦市宍塚−

出版にあたって

 私たちが歴史部会を発足させてから、1年半たちました。その間、宍塚のかたがたから昔の話をうかがい、それを記録する作業と、宍塚に関する資料集めをすすめてきました。さいわい日野自動車グリーンファンドから助成金もいただけることになったので、冊子にまとめることとなり、1999年11月はじめに出版のはこびとなりました。「まえがき」に、この冊子をなぜつくるのか、部会で話し合った内容がかかれていますのでお読みください。

 私の場合、昔の話を伺いじめたころは、何か雲をつかむようなかんじでした。

たぶんあたりまえのことなのに、私にはなかなかイメージがうかばなかったりしました。話題が自分も体験のあるような分野になると、つい身をのりだすのですが、私の大好きなドジョウとりのことでも、その道具について、何度も質問して、やっと納得、というぐあいで、経験のない、農業の実際のようすなど、ちょっとうかがったぐらいでは、わからないことだらけです。たくさん話をうかがう中で、やっと前におぼろな理解だったところがわかって、俄然興味がわいてきたり、だんだん、尋ねたいこともふえてきたというところです。宍塚には、語り伝えていただきたいことがらが、たいへん豊富にあるということがわかりました。

 私自身の、これまでの最大の収穫は、宍塚ですぱらしいお人柄のかたがたに出会えたことです。どんなことを大事にしてくらして来られたのか、お話のはしばしから人生観を学ばせていただき、「聞き書き」に参加できて本当に良かったと思っています。

 今回の冊子は宍塚のくらしの歴史を学ぶ入り口のようなものなので、「注」をなるべくていねいに設け、とくに、イラストや写真をふやしました。また、資料編も設けて「宍塚十科(百科はおこがましいので)」をめざしました。資料つくりの中で楽しかったことのひとつは、航空写真の比較です。お話でうかがっていた「大きな木」が森の中にひときわ盛り上がってちゃんと見えていたり、今でもいろいろな環境がモザイク状になっているのが大池周辺の特色ですが、かつては、ほんとうに細かく、市松模様のように林と田や畑がいりくんで配置されていたことが一目瞭然にわかったりします。また、私は、年表作成の担当となったのですが、宍塚から日本全体の動きをながめ、全国の動きから宍塚をみる―カメラのズームのようなかんじで歴史をみる楽しさをあじわうことができました。また、以前の土浦周辺の洪水の多さ、伝染病流行の多さには驚かされました。

 それにしても、この30〜50年という時期は、何だったのでしょう。暮らしが本当に急速にかわりました。生活はたいへん便利になりました。いろいろな楽しみに使える時間もふえたはずです。それだけ、ゆたかな人生をおくることができるはず、なのですが、そうなっているかどうか。季節ごとの自然のめぐみや、村の行事を楽しみにし、大人たちの仕事の手伝いもしながら暮らしていた子供たちの生活の変化も気になります。はだしで歩けたという林、今は全く姿を消した生物の数々にまた出合うことは可能でしょうか。

 この冊子で、皆さんも、一昔前の宍塚のようすに触れ、今後の里山のこと、くらしかたのこと、など、ともに考えていただければと願っています。

 歴史部会では、これからも、聞き書きをさらにすすめながら、宍塚の歴史の理解を深めていきたいと考えています。興味のあるかたはぜひ、参加してください。宍塚のかたがたには、引き続き、ぜひ、ご協力、ご教示をよろしくお願いいたします。

宍塚自然と歴史の会 歴史部会   阿部きよ子

この冊子制作・出版にあたり「日野自動車グリーンファンド」から助成を受けました。


宍塚の自然と歴史の会 1999