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かすみがうら*ネット記録アルバム 芳賀和夫さん、サイエンスキッズを語る01

芳賀和夫さん、サイエンスキッズを語る

カテゴリ: 名鑑:インタビュー&フリートーク集 地域: 土浦市
(登録日: 2004/06/02 更新日: 2012/12/05)

−−サイエンスキッズ6年目。最初はどんな感じで始めたんですか。
芳賀 一番最初はね、私が連れ歩くのは20人が限度かなと思って、20人募集って言ったんですね。そしたら最初の段階で3倍の60人ぐらい集まっちゃったんです。それでしようがなくて、グループを2つに分けて、AとBと。で交互にやったり。最初1年で、これはちょっと僕の能力の限界かなあ、と思って。どうしようかなと思ってたら、子どもたちが続けたいっていうのが多くって。最初募集した時は親がうちの子にこういうことさせたらいいなあっていうんで、親が申し込むって言うか。それが1年終わった段階では、子どもがやりたいって言って、子どもが主体の継続になるんですね。それ知った時に、「ああこれはやっぱりやらないといけないな」と。それで新しい募集にしてまた人数も増えちゃって、3年目の時に本当にもうやめようと思ったんですね。新聞にも何にもお願いしなかったんです。それでも5,60人集まっちゃったんですね。人づてに聞いて。他にやりたいことあったんですけど(笑)、そっちのけにして、もうこっちにエネルギーを注ぎ込むことになっちゃって。それでとうとう6年目まで来ました。

−−なるほど。参加している方の意思で…
菊地 引っ張られる…。
−−一番望ましい形ですね。
芳賀 よくスポーツ選手でモチベーションという言葉を使いますけど、私のモチベーションは何かなと言うと、「継続したい」っていう子どもの声が、「ああやんなきゃ」っていうことになってるんですね。

−−だから子どもたちの興味を本当に育んでそれが動機づけで「もっとやりたい」と。
菊地 あまりお膳立てしないで。
−− そうですね。
芳賀 あまり押しつけをしないようにしているんですね。あくまで体験で。体験したことが積み重なっていくと後で何かそれが利いてくるんじゃないかなと。ふつう、塾とか習い事っていうのは成績を上げようとか、スキルを身につけるとか、試合に勝つとか、段位とか何級とかそういうのがもらえるとかいうことが多いんですけど、サイエンスキッズは実は何もないんです。成績にも関係ないし。続けるからと言って何か賞状が出るわけでもないし(笑)。それでもやりたいって言っているのは何か、子どものやりたいって気持ちを大切にやれば続くんだなあって言うことなんですね。

菊地 生き生きしていますね。
−−生き生きしていますよね。自然の中に出て親しむっていう機会がないんでしょうかね。
芳賀 そうですね。やってみてもう一つ感じるのは、あくまでサイエンスキッズで、子ども中心でやっていることなんですけど、子どもの自然観察や何かさせるとお父さんお母さんが来ますよね。で、お父さんお母さんの目も輝くんですよ。子どもと同じでね。親も楽しみにして来てくれるんですね。今回ちょっと別行動になった親もいますけれども、皆子どもと一緒に来る親が多いんですよね。だからそういう輪が広がっていくと、これもいいかなと…。最初、子どものことやってんだから親はちょっと邪魔みたいなことも(笑)。途中から親の面倒もみましょう、と。
菊地 親どうしが会話してるんです。
−−非常にいいコミュニケーションになっているんですね。これを一つの場として出来ていくわけですね。するとお互いによく知り合って?
菊地 連絡網が…。
芳賀 連絡網を作っているんですけど。
−−つくば、土浦の方が多いんですか。
芳賀 つくばは多いですね。つくば、土浦。でも割に分散してて、水戸の人も多いですね。
−−どちらかと言うと都市部の方が多いですか。
芳賀 それも色々なんです。県南、それから一部県北の市町村が殆ど並ぶんですね、見ていくと。すごく遠いところから来る人もいますし。今一番遠いところから来ているのは栃木県小山市ですね。それから千葉県野田市。県内では波崎。波崎は銚子の方ですね。北の方はね、東海村どまりですかね。
−−水戸、東海の辺りですね。結構広いところから。こういう体験学習を楽しめる場っていうのがないんでしょうかね。ホントはもっといろんなところにあるといいんでしょうね。
芳賀 そうですね。
菊地 ボーイスカウトとか、ジュニアレンジャーとか。
芳賀 色々あると思うんですね、そういうのはね。ただサイエンスキッズの特徴としては、もう殆ど私個人でやってるのが一つ特徴ですね。それからよくネイチャーキッズっていう自然観察を主体とするのはよくあるんですね。
 私は環境教育にはあまりのめり込みたくないんで、ちょっと距離を置いてるんですけど、それでもいろんな情報を知りたくて日本環境教育フォーラムっていう団体があるんですけど、そこにはいちおう加盟してて、会誌や何かは見てるんですけど、それを結構見てると、「ああ、いろんな活動があるんだな」って思いますね。
 中にはちゃんと組織化されてNPOになってたりするのも多いんですけども、私はあくまで個人ということで。なぜ個人かと言うと、他にやる人が出てくるとその人に任せてこっちはさぼるんですよ、私の性格として。だから誰かとタイアップしてやるとなったらもうおんぶしてしまって、私は何もやらなくなるな、と。もともとズボラなんです。
−−組織化された場合の何か違う問題というのがありますよね。持続可能性は出てくるかもしれないけれども、そこの実質というのか、人の活動ですしね。
芳賀 最初募集した時に、一番最初に親の集会をするんですけど、その時にお断りして「私個人でやるので年間はプログラム色々立ててももし途中でダウンしたらそれで終わりになります。了解して下さい。替わりはいません」言っているんですけど。
−−しかし環境への関心っていうものもあって、環境教育ってのは広がりの一つの形にはなってきてはいるんですけれども、何かもっとサイエンスの眼っていう…。まずはあるがままに見てどうなっているんだろう、なぜなんだろう、という風に疑問を持つっていう…。そこがいろいろな知識を育む原点かなあ、って感じがするんですよね。
芳賀 そうですよね。どうしても環境教育みたいものが先に立つと子どもが感じるよりも先に大人が感じて押しつけてしまうみたいなところがあるんですね。
−−そういう点ではITを活用するっていう「かすみがうら*ネット」もある意味押し売りの部分はあるんです。ITを使いましょうっていう。「ITを使いましょう」ではなくて、自分が興味のあるものに、こういうものが必要であると自然に入ってくるというのが本来の形だろうと思っているんですけども、そういうこと言っていると誰も始まらない、始めないんですね。そのジレンマはあるんですよね。自分の中にある興味を発見していく。
菊地 ITはあくまで手段なんです。
−−これはあくまで手段であるので自分の中にある動機づけとか興味。これがあってこういうものが活かされていくっていう関係なんですけれども。どうもその辺がうまくいきませんね。自分の中に興味を持っている人というのは意外と世の中ではまだ少ない。こういう機会に自分の本当に興味のあるものを探して発見して来るのかなあと思うんですよね。サイエンスキッズの子どもたちはいいなあ、と。たぶんその中で自分の興味あるものを発見しているんでしょうね。自分で(興味を)育てているじゃないかなっていう気がしますよね。
菊地 自分の認知を記録しておくっていうのは後で自分があの時何があったかって、ちゃんと。
芳賀 そうそう。
菊地 記憶ってすぐ忘れちゃうから。
芳賀 全部私の反省会にしているんですけど(笑)。せっかくメモ取ってもね、日付がないと殆ど意味がなくなっちゃったりとか。
−− これは色々自然の観察をしているので、デジカメが記録の手段として一番いいと思うんですよ。どこのご家庭でもデジカメは今は皆さんお持ちですよね。ビデオはあったりなかったり。なかったりが多いんですけども。デジカメは皆さんお持ちだと思うんで、「これは何かな」って。カエルをこんなに見せたりしていましたよね。それをパシッと撮ることがとっても意味があるんですね。それを記録していくと、今度はそれをまた整理したいと。「あれ何だろう」と、説明書きたいと。それがまた学習になっていくんですよ。そうやるのが誘導っていうのか、押しつけなんでしょうかね。
芳賀 大学生のスタッフ、大学で募集するんですけど、その時に、自分の得意分野とか、不得意分野とかマル付けさせるんですよね。その中にビデオ、カメラって作っておいて、そこにマルのある者がたまたまスタッフになった時には。この前ちょっとやってみたんですけども、デジカメ1台与えておいて、これで68枚撮れるから何撮ってもいいよって言って。全部撮り切ちゃった。それでやらせたんですね。午前、午後だったんですけども。途中でみんな撮り切っちゃって、後で見たら結構面白いのが。それでも半分ぐらいはブレたり何かしていたのがあって使えなかったんですけど。
−−そうですか。それではそれは即ネットに出せる。活動の記録として載せられますね。
芳賀 だからそういうのを毎回ね、カメラ係みたいなのを作ればいいのかな、と。
−−係を作ってやるのから始めるのがいいのかもしれませんね。
芳賀 何よりも私自身がもう少しITに馴染んでいけばいいんですけど、殆今どコンピュータというと、メールとワープロで終わってるみたいなところがあって。
−−メール出来る方は自分からの情報発信は。Webのページ作るってのは。道具にもよりますけどね。PushCornぐらいだったらたいしたことないと言うか。むしろいろんな方の様子を見ていて、いろんな方にPushCornっていうのを使ってもらって感じることが顕著な傾向は、できるんですよ、誰でも。誰でもできるんですけれども、それがずーっと持続性のあるものになる方はごく一部なんですよ。それは、そういう習慣がそもそもないんですよね。そこは大きな課題なんですよね。デジカメで撮ったり、ホームページを作ったり、それは出来る。(画像を)1枚ペッと貼り付けて、ちょろっと説明を書いてあるんですよ。心にもない説明が書いてあるんですよ。それについていろいろとその方が話をすると雄弁でね、話が止まらないんですよ。それぐらいそれに対する思い入れとか語りたいことってあるんですけど、表現手段が違うんですよね。「違うのかな」というのを感じますね。そういう方が結構多いんですけども、表現するものは持っているんだけども、表現手段と結びつかない。ここの壁もまた非常に大きいですね。
芳賀 サイエンスキッズ始める前にね、東京の電子出版の会社にいたことがあるんですね、顧問みたいな形で。そこで「芳賀ワールド」っていうホームページ作りましょうって。「芳賀ワールド」っていうのを3年ぐらいやったことがあるんです。その時にそのスタッフが全部デザインから何か全部やってくれて、私は素材を提供するだけだったんですけど、それを存続しようかなって…それがなかなかできなくて、もう最近ではやってない。おそらくそのページはもうなくなったと思うんです。

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