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常陸国衙跡発掘終了。大型の国衙跡確定的07/03

カテゴリ: 石岡市の自然/歴史/文化ほか タイトル: タイトル一覧・霞ヶ浦の自然 動植物・地域歴史・筑波山・自然ほか: 霞ヶ浦流域の歴史と史跡 市町村: 石岡市
(登録日: 2007/03/18 更新日: 2011/12/10)


 第6次常陸国衙跡発掘終了2007。大型の国衙跡確定的・石岡市07/03

常陸国衙跡発掘調査は今回第六次で終了しましたが今日現地説明会が発掘現場で行われました。一期、二期、三期と立て替えされた大きな建物、西脇殿跡や門跡、塀跡などが確認され常陸国衙が存在したことがが確定的になりました。




日 時   平成19年3月18日(日) 午後1時30分〜 
場 所   常陸国衙跡発掘調査現場(石岡市、市立石岡小学校校庭 石岡市総社1−2−10)常磐線石岡駅から約1km



 
常陸国衙跡
平成19年3月18日(日)
国衙域の第六次(西脇殿・推定曹司地区)調査現地説明会資料 石岡市教育委員会


1、はじめに
 平成13年度から実施してきた常陸国衙跡の発掘調査も、今回の第6次調査をもって終了となります。これまでにたくさんの国衙関連建物跡などが発見され、常睦国庁の姿や前身官衙の一部が明らかになってきました。前j回の調査では、東脇殿が、その推定地区て発見され、常陸国庁の存在が確定的になりました。今回の調査では第2次調査で発見された西脇殿の南北規模の確認、そして、第1次調査で確認された大型東西棟の規模確認を大き'な目的としで設定しました。また、平成11年度に検出され、国衙の北限に推定される:大溝跡と関連する西辺溝の存否についても併せて確認作業を行いました。

2、調査の成果
 今回の調査では、第2次調査区に接する南側(西脇殿地区)と第1次調査区に接する西側(推定曹司地区)に調査区を設定し、それぞれ確認作業にあた.りまし.た。その結果、西脇殿地区では過去に発見した建物と縦列した配置で3棟の脇殿が発見されました。また、推定曹司地区では、大型東西棟の全体規模を確認することに成功しました。
◎(1)西脇殿地区

◆第I期西脇殿(SB1802)
 以前確認した西脇殿(SB1405)から南へ7.5mの位置で新たに確認ぎれた建物跡です。SB1405とは、南北方向に柱筋が通り、北妻柱が確認されたことから独立した別棟であることが判明しました。桁行7間X梁行2間の建物跡で.柱間寸I法は、桁行10尺、.梁行9尺で収まります。小学校敷地の南端のトレンチ内で、南妻柱を確認することができました。.
◆第U期西脇殿(SB1803)
 SB1802から西及ぴ北へ1間分移動した位置で確認'されました。西側へ1間分移動する状況は、過去に発見したSB1406と連動しています。SB1406とは南北方向に4.5m離れています。規模は、桁行7間×梁行2間で、柱間寸法は、桁行1O尺、梁行9尺になります。SB1802と同様に、北妻柱が確認されたご.とで別棟であることがわかりました。ただし、南妻柱は残念ながら確認されませんでし.たが、桁行10尺等間であれば、トレンチ内で8間目が存在するはずですが、これが見られないことから、トレンチより'も北側、つまり7間で収まるものと推定されます。
◆第V期西脇殿(SB1804 ・SB1407)
 SB1804は、第1期西脇殿SB1802とほぼ同位置で確認された建物跡です。.規模は、SBI802と同じであったと考えられ、南妻柱がトレンチ内で確認されています。東側柱列のみ、柱穴底面付近で礎盤石や根固めにする瓦片が見つかりました。礎盤石は、底面を少し埋め戻してから据えたものがあることから、柱のレベル調整を目的としたものであると推定されます。また.礎石建物SB1407の堀り込み地業の未確認部分も今回明らかになりました。今回2m分を検出したことで、南北約21mに亘って地業が行われたことがわかりました。東西方向の幅は約9mです。SB1407の堀込み地業は、礎石建物を建設するための地盤改良工事であるため、建物の柱位置は不明です。第V期は、北側に礎石建物、南側に掘立柱建物が配置されていたようです。、
◆第1期西塀跡(SA401)・(1402)
 第1期の国庁西辺を遮蔽する掘立柱塀跡の延長部分が発見されました。SB1802とは、4.5の距離をおいています。また、以前確認したSA1402の延長細分も今回見つかりました。これは、従来第U期の西塀跡であると考えてきましたが、後述するように、SA1401を改築したものであることが判明Lました。北第1・2穴間のみ10尺で、それより南側は6.5尺になることから、この10尺の部分に棟門の存在が想定されます。
◆第U期西塀跡(SA1803)
 調査区の西端で確認されたものです。今回の調査区は、第2次調査区よりも西側に広く設定していることから、新たに確認された西辺遮蔽施設と言えます。SB1803とは4.2mの距離をおいています。北第1・2穴間と第2・3穴聞の距離が異なることから、前者の位置には、やはり門を想定できそうですが、その場合、門を潜るとすぐ目の前にSB1803の北妻柱列があり、不自然なことから、柱間が不等関であると考えた方がよいでしょう。
◆第V期門跡・西塀跡・想定築地塀跡(SB1805 ・SA1804)
柱穴の重複関係で、この時期の初期にSB1805が単独で存在した可能性が考えられます。構造的に四脚門であると考えられますが、塀などで連結しておらず、仮設的なものだったかもしれません。その次の時期では、SB1804から7.5m西に、SA1804が造られたと考える案がひとつ挙げられます。柱穴は3基のみの検出ですが、北第1・2穴間と第2・3穴間の距離が異なることから、前者の位置に入りロを想定でき、さらにその東側で確認された柱筋の合う柱穴とともに、門(薬医門)の存在を想定することができます。一方、西側未調査区域で、柱穴が対象位置に存在すれば、四脚門が置かれていたとも考えられます。もうひとつの案は、柱穴が南側に存在しない場合、瓦を多く含んだ溝(SD1805 ・1806)からなる築地塀の存在も推定できます。この場合、3基の柱穴は、築地塀に取り付く建物跡もしくは門(八脚門)
の南東部分を検出したことになりますが、いずれにしても、第V期の西辺遮蔽施設に関しては、難解な部分が多いというのが現状です。
◎(2)推定曹司地区
◆大型東西棟(SB1301a・b)
 第1次調査で桁行8間分が確認されていた建物跡です。ほぼ同位置で建巷えられており、柱穴が2基ずつ発見されました。建物跡の北西隅部分の柱穴はすでにこわされていますが、西妻柱を検出したことで、東西11間になることが判明しました。これまで、南側に存在するSB1302との配置関係から、想定中軸線を設定すると、東西11間分が予想されていましたが、今回それが現実的なものとなりました。この桁行規模は、国庁正殿よりも大きいもので、当初は、この建物跡が正殿であろうと考えられました。11間という桁行は、全国の国衙内建物の中で、最大のものと思われ、宮都の大極殿においても平安宮の11間を除けば、9間もLくは7間です。この建物の性格はまだ、明らかではありませんが、常陸国の国力を如実に反映したものと言えるでしょう。
◆南北溝跡(SD1807)
 南北方向に走行する講跡が検出されました。しかし、幅約1m、深さ約50cmで、軸も西に振れることから、国極西辺の大溝とは考えがたいと思われます。

◎3.まとめ
 今回の調査成果を再度確認し、整理しておきたいと思います。
@通常の脇殿が十数間の桁行規模をもつのに対して、常陸国庁の西脇殿では、長舎建物を南北に2棟縦列配置すること。
A第V期脇殿では、礎石建物と掘立柱建物が混在すること。
B今回の調査区北西隅付近には、門が置かれた可能性があること。
C推定曹司地区では、国庁正殿を凌駕する大型建物が存在していたこと。
D国衝西辺の大溝が検出されなかったことで、さらに国衙域が西に広がる可能性が生ずること。(石岡市教育委員会、国衙発掘現地説明会資料より)図面等はPDFで

国衙発掘現地説明会資料(石岡市教育委員会)、PDF(一部の参考図面は省略しました。
 

記録日: 2007/03/18 石岡市総社国衙発掘現地
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01 常陸国衙跡発掘終了。大型の国衙跡確定的07/03 02 常陸国衙跡発掘終了。大型の国衙跡確定的07/03 03 常陸国衙跡発掘終了。大型の国衙跡確定的07/03 04 常陸国衙跡発掘終了。大型の国衙跡確定的07/03
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