若松町交差点から若宮八幡宮〜東耀寺に至る大きなL字状の区画が旧若松町の範囲です。現在の住所では、若松一丁目〜若宮一〜四丁目がほぼその範囲です。今通過しているのが、ちょうどこの旧若松町です。『石岡の地名』(石岡市文化財関係資料編さん会編、石岡市教育委員会、1996年)によると、若松という町名の由来は次のように解説されています。町名由来の長法寺は既に廃寺となりました。「近世以前は、長法寺の寺域であったといわれる。府中松平氏治下の正徳年間、従来の『長法寺』から佳字佳名をもって『若松町』と改名する。」(前掲書、p.206) 若松町交差点を過ぎて市街地の中心に進むと、道は行き止まりとなり、道筋は左へ直角に曲ります。この町の構造は大変印象的で、私も子供の頃から長くこのL字角の風景が記憶に残っています。このL字の道筋に若松町が広がっていたことは、今回、地図で確認してみてわかりました。元々は、若宮八幡宮に突き当たる道筋が近世の府中城下であったようです。府中13町の一つだった近世の若松町は若宮八幡宮から東耀寺にかけてのこの一画だけを指すようです。1935年(昭和10年)の地図(前掲書、pp.36-37)には、八幡宮前(現在のL字角)に抜ける道はなく、道筋の拡幅の際に貫通したようです。
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