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霞ヶ浦*とは何か

分類: 霞ヶ浦*への視点
(登録日: 1998/12/07 更新日: 2024/04/07)

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「霞ヶ浦*」とは湖が束なった湖である



単一の湖「霞ヶ浦(西浦)」をめぐっているうちはあまり意識することがありませんでしたが、潮来、佐原…と霞ヶ浦*の下流域をめぐっていくうち、上流(霞ヶ浦、北浦)の異なる流域が次々と異なる流域に連結しながら利根川へと連結する霞ヶ浦*の構造的な特性が次第に意識化されてきました。湖が束なった湖、それが霞ヶ浦*です。一級河川「霞ヶ浦」は、「霞ヶ浦(西浦)」「常陸利根川(北利根川)」「北浦」「鰐川」「外浪逆浦」「常陸利根川(常陸川)」の連結した流域全体を指し、利根川に連結しています。霞ヶ浦という湖が霞ヶ浦(西浦)であることは、多くの人の共通した理解でしょう。困ったことに、湖が束なった状態の湖の全体を指す呼称がありません。建設省は、この束なった湖を一級河川「霞ヶ浦」と定義しています。

私は、この矛盾を「霞ヶ浦」は「霞ヶ浦(西浦)」であると割り切って済ませてきましたが、このような割り切りにこそ霞ヶ浦*理解の基本的な問題があると認識するに至りました。歴史的には束なった湖に対する呼称のないことが、霞ヶ浦*の理解を遅れさせた、とすら思います。「霞ヶ浦」と言いながら、実際には常陸利根川や外浪逆浦などまで含めないことには霞ヶ浦を語ることができず、自ら矛盾に陥っていることを日々痛感しています。
 

「霞ヶ浦*」と「霞ヶ浦」


『マッピング霞ヶ浦*』では、「霞ヶ浦」を次のように呼び分けて区別することにしましょう。湖が束なった湖としての霞ヶ浦は「霞ヶ浦*」、単一の湖「霞ヶ浦(西浦)」は「霞ヶ浦」です。米国とカナダにまたがるミシガン湖などの湖は「五大湖」と呼ばれています。五大湖は有名ですね。霞ヶ浦*に五大湖のような呼称を与えることにしましょう。「霞ヶ浦(西浦)」「北浦」「外浪逆浦」を指して「日本三大湖」でもいいのですが、このような新呼称は受け入れられそうにないので、呼称は変えずに一工夫したつもりです。「霞ヶ浦*」の「*」はコンピュータの世界でよく用いられるワイルドカードのようなものとでもご理解下さい。ですからサイト・タイトルの『マッピング霞ヶ浦』は厳密には『マッピング霞ヶ浦*』です。逐一、「*」が付くのは目障りかもしれませんが、指し示している対象を混乱なくさせるための方策ですので、どうぞご了解下さい。ただ、「*」はこの定義を知らない方にはご理解いただけないと思いますので、正式なサイト・タイトルは、『マッピング霞ヶ浦』『マッピング霞ヶ浦*』どちらもOK、ということにしておきます。読み方はいずれの場合も「まっぴんぐ かすみがうら」としておきます。
 

「霞ヶ浦*」のもう少し厳密な定義を


「霞ヶ浦*」は湖が束なった湖と上で定義しましたが、もう少し厳密に定義しておきましょう。「湖」という概念、これは極めて曖昧なものです。霞ヶ浦*の理解のためには、湖を一流域ぐらいに定義しておく方がいいでしょう。水路状に連結する川筋、これも含めないと取りこぼしが出ます。与田浦、横利根川、新利根川、前川など、これらも「霞ヶ浦*」に包括しましょう。流域が一つながりになっているわけですから、これらを含めることで、霞ヶ浦*の性格がよりはっきりとしてきます。通常、霞ヶ浦*という時には、横利根川や新利根川などは含めません。これらを包括してみようというのが、このサイトでの新しい「霞ヶ浦*」観の提案です。
 

インターレイク(湖際)「霞ヶ浦*」


その湖の個性を語るためには、他の湖との違いを明らかにする必要があります。「人の生活と密接に結びつき人為的に姿を変えてきた湖」、これが私の「霞ヶ浦*」の認識でした。確かにそのとおりですが、それだけであれば、琵琶湖など他の湖についても同様のことが言えます。「霞ヶ浦*らしいもの」、霞ヶ浦*が他の湖と全く異なるものがあるとすれば、それは何でしょうか。それが「湖が束なった湖」という特性です。ここではこの特性をとりあえず「インターレイク(湖際)」と呼ぶことにしましょう。水域のネットワークと言い換えてもいいかもしれません。

「際」、この言葉は、現在では、「インターネット」(網際)、「インターナショナル」(国際的)、「インターフェース」(面際)などの言葉でお馴染みともなった「インター」と同じ意味あいを持ちます。何かと何かの間、○○についての○○、こういった意味あいがあります。メタ的であり、相互的な関係性において派生してくるものが際です。
 

霞ヶ浦*は日本で唯一の湖際


日本地図を広げて、湖という湖をしらみつぶしに探し、眺めてみて下さい。湖どうしが水域を共有して連結している湖は殆どありません。琵琶湖、八郎潟、サロマ湖、猪苗代湖、支笏湖、洞爺湖、十和田湖…、いずれもが単一の湖として存在しています。霞ヶ浦*以外では宍道湖と中海だけが例外的につながった水域を成しています。しかし、宍道湖・中海とて、細い川でかろうじて繋がっているに過ぎません。この川がなくなったらこの二つの湖は存立しえるかといえば、そのつながりが存立には影響しないことは明らかです。宍道湖・中海と同じく、霞ヶ浦*も海跡湖という成り立ちに共通点があります。海跡湖は八郎潟、小川原湖、浜名湖など全国には数多く存在しています。しかし、霞ヶ浦*だけが、海が湖へと変容していく過程で、流域は一つながりの構造を残したまま、各部の流域が独立性を高める独特な構造へと変化していきました。
 

エッジにも特徴がある霞ヶ浦*


八郎潟は霞ヶ浦*とよく似た運命をたどっています。人為的に淡水化され、さらに流域が干拓地へと変貌しました。しかし、霞ヶ浦*と八郎潟には大きな違いが一つあります。八郎潟の場合、湖の周囲は平坦で単一の湖として存在していました。霞ヶ浦の場合、湖に台地が複雑に入り組み、この台地の存在が湖を異なる流域へと分離させる要因となっています。台地の存在、これが霞ヶ浦*の形成に大きく関与しています。ここで再び「際」という鍵が出てきます。台地の際、陸地と水域の際。日本語では、「インター」も「エッジ」も「際」と言いますが、台地の際は「エッジ」の意味で理解するのが適切でしょう。
 
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